園芸、農業、植物栽培の培養土で、
 朽ちる用土を作ることが出来なかった。
 ほとんど全て腐敗させてつくってきた。
 だから、自然の枯れ落ち葉がつくる地表・・・・好気性菌が作る地表を再現できなかった。
 ラン用の用土でも同じ。
 菌根植物であるランが要求する糖、糖質を鉢内に作ることが出来なかった。
 ラン栽培の初期において腐葉土も使用された。
 ことごとく失敗した。
 ユックリ朽ちる・・・・ことが出来なかったからである。
 ラン菌に生息しない場合、激しい醗酵、腐敗を起こす嫌気性菌が鉢内に繁殖するためである。
 分解が・・・EM菌と似て早すぎるのである。

 宇井清太のラン菌(材木腐朽菌)の発見。
 更に樹皮の高圧によるペレット化において、はじめて、自生地における「朽ちる」ことが可能になった。
 ラン菌の繁殖によって鉢内にランが要求する糖、糖質を作り出すことが可能になった。
 SUGOI-neは世界で初めて成功した好気性菌による「朽ちる」・・・・用土である。


 恐らく園芸、農業の用土で「朽ちる」という字句を用いた用土は世界ではじめてだろう。
 
この講座は「材木腐朽菌」による炭素循環栽培法である。
この「腐」と「朽」の文字の陰には、腐に関る微生物、朽に関る微生物が異なるということがある。
生き物は・・・死して・・・やがて「土」に還る。
このとき「腐」なのか「朽」で土に還るかということ。
堅牢な樹皮で武装した樹木が土に還るには腐と朽の二つで行われる。
腐は嫌気性菌。
朽は好気性菌。

腐は短時間。
朽は永い時間
時間が関係している。

腐に関係する嫌気性菌は短時間で細胞を破壊し醗酵、腐敗を行う。
近頃のEM菌などは、家庭ゴミを数日で腐敗させ土に還す。
牛乳が腐る。
魚が腐る。
豆腐が腐る。
消費期限はこの短時間に腐る嫌気性菌が大きく関係している。
栄養、養分の豊富なものは腐るのも早い。

朽ちる。
これには老朽化という言葉のように、ユックリ、徐々に土に還る。
老木が朽ち果てる。
この姿には好気性菌が関る。
養分の少ない細胞の死骸の木質は、嫌気性菌は繁殖出来ない。
キノコ類の好気性菌の独壇場である。
ユックリユックリリグニンとセルロースを分解してゆく。
この姿を「老い」に重ねたのが・・・老朽である。
老いも・・・ユックリユックリ進行する。
クマガイソウの自生地を見る。
枯れ落ち葉が分厚く堆積している。
下の方から少しづつ朽ちてゆく・・・・・。
北海道の原生花園のハマナスの根元を見る。
枯れ落ち葉が分厚く堆積している。
少しづつ朽ちてゆく・・・。

ラン栽培で、この腐と朽に視点を置いてかかれた本は皆無である。
ラン科植物26000種は、進化の中で、どちらを選択したかである。
どちらの菌をパートナーに選んで菌根を形成してきたかということである。
どちらの菌が作り出す成分を利用して発芽し、プロトコームの養分として、生長してきたかということである。

どちらの菌を利用しているかということは、
植物の根群のエリアをみれば推察できる。
ラン科植物は地表の空気の多い枯れ落ち葉の中に横に伸びている。
岩の窪み、裂け目・・・・樹の表面・・・・いずれも表面である。
この場所は好気性菌のエリアである。
なぜラン菌がここに生息しているかというと、地表に毎年新しい枯れ落ち葉が舞い落ちるからである。
石灰岩の窪み、裂け目に枯れ落ち葉が吹き溜まり堆積するからである。
パフィオのある種は石灰岩地帯に自生する。
だから石灰を好きだ・・・という理論があるが・・・・とんでもない間違いである。
用土に石灰岩をミックス????
とんでもない間違いである。
石灰の中でプロトコームが生きているのではなく、あくまでも、石灰岩の上に堆積した枯れ落ち葉の中で生きているのである。
ランが菌根植物であるということを忘れている栽培である。
枯れ落ち葉内に住むラン菌をミックスするのが・・・・正解である。
この石灰岩に自生する種が・・・・別な自生地は・・・全く違う条件(石灰岩にない)のところに自生している。
この説明が・・・石灰をこのむ・・・という理論では説明がつかない。
植物を朽らすラン菌が二つの異なる自生地に生息しているというのであれば・・・見事に謎が解けるのである。
他の地球上の植物の根群を見てみると、支柱根、直根とは別に、
養分を吸収するための根は地表近く横の伸びている。
つまり、陸上に自生する植物のほとんどは、枯れ葉、植物の死骸をユックリ朽ちらす材木腐朽菌(ラン菌を含む)、
好気性菌の生息するエリアに根を伸ばしている。
生き物が好気性菌で炭素循環の末に土に還るエリアである。
ここにはリグニン、セルロース由来の糖、糖質が生産されるから、ミミズ、ヤスデ、カブトムシ、クワガタ・・・・
その他多くの微生物が生息する。
生物の複雑なネットワークが構築される。
鉢に石灰岩をミックスすれば良い・・・という単純な構図ではない。



この講座では、これまでの植物学の用語を踏襲して「腐生ラン」と表記している。
しかし、この用語は宇井清太のラン菌発見を待つまでもなく、言葉が間違っている。
植物用語は英語であるが、これを明治にはいって日本語に翻訳するとき、
適当な日本語がないから造語が作られる。
ランではファレノプシスを・・・・胡蝶ランと・・・翻訳した名翻訳もある。
これを「蛾」と翻訳したら、これほど売れるラン商品にはなれなかった。
素晴らしい翻訳者にラン界は感謝しなければならない。
ベースボールを「野球」と翻訳した正岡子規。
大変な不朽の名翻訳である。

しかし、腐生ランはどうか???
とんでもない間違いの翻訳である。
「腐る」!!
この字句をみて、日本人がイメージするのは「腐敗」である。
腐ったような男。
政治の腐敗。
腐敗した組織。
本当はこのランが自生するエリアは好気性菌の朽ちた葉の堆積した所だから、
朽生ランというのが菌の種類から命名すれば正しいことになる。

人間が食物を保存したときから・・・この腐敗に悩まされてきた。
死体も腐敗する。
エジプトのツタンカーメンのミイラ。
腐敗させない術が施されている。



この腐らすものは何か・
微生物がもたらすことが科学的解かったのは顕微鏡が発明が大きく関与している。
嫌気性菌。
腐敗と醗酵に関る微生物はほとんど嫌気性菌である。
農業、園芸で使用されてきた菌は・・・・ほとんど嫌気性菌である。
人間に有用な菌で行うのを醗酵。
そうでないものを腐敗。
農業でよく使用する言葉に腐植、腐葉土がある。
これに関与する菌は嫌気性菌である。
特徴としては繁殖するとき「醗酵熱」を出す。
枯れ葉に窒素を与えて固く堆積すると、空気が少ないから嫌気性菌が繁殖し熱を出す。
この場合は「醸熱」とも呼ぶが、腐敗熱でもある。


腐生ラン。
このラン科植物が自生するのは、嫌気性菌が枯れ葉を腐敗させた腐葉土の中ではない。
腐った枯れ葉、植物死骸の中で生息しているのではない。
朽ちた葉の堆積したエリアに自生している。
人間の目からみれば、腐生も朽生も同じように見えるが・・・生きている菌がまるで違う。
腐生ランが自生する場所には「好気性菌」のラン菌が枯れ葉を分解している所である。
好気性菌は「醗酵、腐敗」させる菌ではないから、この場所の枯れ葉は腐った葉ではない。
静かにラン菌がリグニン、セルロースを分解している場所である。
したがって「醗酵熱」「醸熱」はない。
ラン科植物26000は全て好気性菌が勝ち組みになっているエリアに自生する。
腐生ランも同じ。
腐った植物死骸、枯れ葉の中には自生していない。あくまでも朽ちた葉である。

好気性菌が棲んでる枯れ葉、植物死骸と、
嫌気性菌が棲んでいる枯れ葉、植物死骸の違いは、これまで、農業、園芸界で混同されてきた。
EM菌。
これは嫌気性菌である。
ものすごく激しい繁殖で醗酵腐敗を行う菌群である。
数日で家庭ゴミを醗酵腐敗させる。
しかし、この菌が生息するエリアでは、好気性菌のラン菌は生息できない。
ランの自生地にはなりえない。
EM菌が農業に使用されたとき、使い方で良い結果が出ない場合があるのは、
この腐と朽を混同するからである。
嫌気性菌は土中深いところで生きる菌。
好気性菌は地表で生きる菌。

堆肥、厩肥、緑肥、腐葉土・・・・腐敗でつくるから窒素を多く含む。
つまり腐と朽の分かれ目、嫌気性菌と好気性菌の生息の分かれ目を支配するのは何かということであるが、
それは有機物の炭素率が支配している。
窒素の少ない枯れ葉は、好気性菌の独壇場である。
地表は好気性菌が支配している。
朽で生まれるのは糖、糖質。
腐で生まれるのは窒素。
だから昔から人糞尿を、動物の排泄物を、魚を、肉を、大豆を、緑の葉を、油粕を腐らせ、
窒素肥料としてきた。
ラン、植物用の有機液肥。
嫌気性菌で動物、植物を腐らせて作る。
ランが望むのは朽がつくる糖、糖質なのである。
大きな間違いで、与えれば与えるほど・・・・病気に侵されるランになる!
自生地のいける窒素の吸収は、雨水に含まれる尿素、ラン菌などの菌糸の死骸に含む窒素などである。
それでバランスを保ち生き続けている。

自然農法。
これはこの好気性菌を利用した農法である。
しかし、この農法は窒素が少ないから収量は少ない。
これでは経営できない。この理由で利益を追求する農業では広く普及しないことになる。
ラン栽培でも多収穫を望む人は・・・肥料で作ることを考える。
これは腐と朽の違いを理解しないからである。
朽ちることのない用土で植える。
そこには当然糖、糖質はない。
株分けしたときの落ち込みが激しく・・・・悩んでしまう。
朽ちること・・・炭素循環の法則を知らないためである。

多くの収量を手にしたい!
それで、窒素多く含む堆肥、厩肥、緑肥、腐葉土を多く与える有機農法が生まれる。
しかしこれは有機というより有機物を利用した有窒素栽培である。
自然の法則から乖離した嫌気性菌による腐の土壌になる。
有機農法では嫌気性菌も好気性菌も、腐と朽を混同して・・・・糸状菌で片付けている。
有機農法では、菌根植物を説明できない。
ラン栽培を説明できないのは、この腐と朽の違いにメスを入れていないからである。
いかがわしい菌で醗酵させた有機栽培が行われているようである。


このラン菌による炭素循環栽培法は、朽ちて土に還る過程の中における炭素化合物が、
糖、糖質都なってランの、植物のエネルギー源になる仕組みを利用したものである。
光合成でつくられた植物組織が朽ちるとき・・・・多くの生命を維持する燃料になるのである。
腐生ラン???は、その燃料で生きるランである。

この講座は、不朽の栽培法になるのか!
不朽・・・・。




腐生ランは朽生ランである
  
腐生という言葉の間違いについて
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